プライオメトリクスの量と強度

プライオメトリクスの量(接地回数)と強度のバランスに関する面白い研究がありました。


Periodization of Plyometrics: Is There an Optimal Overload Principle?

Lievens M,Bourgois JG,Boone J.Journal of Strength and Conditioning Research, 01 Jul 2019,DOI: 10.1519/jsc.0000000000003231 PMID: 31268999

研究の目的

3つの異なる強度×量で行われるプライオメトリクストレーニングを似たような負荷漸増パターンで行う場合、スプリント・アジリティ・ジャンプパフォーマンスにどのような影響があるかを調査すること

被験者

44名の活動的な男性(19~27歳)が選ばれた。※少なくとも4年以上のチームスポーツ経験があるがプライオメトリクスおよび下肢の構造的レジスタンストレーニングは行っていない。

実験内容

強度と量を共に増やしていくMix群 (11名)、量は変えずに強度を増やす LowHi群 (11名)、 量は増やすが強度は低く保つLow群 (11名)とコントロール群(11名)に分けて、週あたり2回のプライオメトリクストレーニングセッションを8週に渡って行った。週ごとに増やす強度及び量の増加率は全群とも10%で統一された。トレーニングの量は接地回数で、強度は種目によってコントロールされた。重りなどを足すことはなかった。※Low群とコントロール群から1名ずつ怪我及び病気により離脱者が出た。トレーニングの量と強度を合わせたトレーニング負荷は全群で等しく設定された。

評価方法

トレーニング介入前後に10mスプリント(0-5m地点のタイムと0-10m地点のタイムを計測)・10m×5回のシャトルラン・スクワットジャンプ(アームスウィング無し)・CMJ(アームスウィング無し)・CMJa(アームスウィング有り)・立ち幅跳びを行いパフォーマンスの変化を測定した。またトレーニング期間終了後、トレーニングの急性効果を調査するため1週間間隔をあけて再度トレーニングを行い、トレーニング前と24時間後、48時間後の血中のクレアチンキナーゼおよび乳酸脱水素酵素量の測定およびパフォーマンステスト(介入前後に行ったもの)を実施した。

結果

群内での介入前後の変化において、シャトルランはLowHi群とコントロール群が有意に改善し、効果量も大きかった。スクワットジャンプはプライオメトリクスを行ったすべての群で有意にジャンプ高が向上し、効果量はLowHi群が最も大きかった。CMJは群間での差があり、コントロール群と比べプライオ群は有意に向上した。群内においてはMix群とLowHi群が介入前と比べ有意に向上し、効果量はLowHi群の方が大きかった。CMJaもプライオ群はコントロール群と比べ有意に向上し、群内ではLowHi群が介入前と比べ有意に向上し、コントロール群は有意に低下していた。立ち幅跳びも群間での差があり、コントロール群と比べプライオ群は有意に向上した。群内においてはプライオ群は介入前と比べ有意に向上し、その中でも効果量はLowHi群が大きかった。急性効果においてパフォーマンステスト(CMJ以外)とクレアチンキナーゼおよび乳酸脱水素酵素量はプライオ群それぞれの群間差はなかった。スクワットジャンプはLowHi群においてトレーニング24時間後の測定で有意な跳躍高の低下が見られた。またCMJでも24時間・48時間後の測定でLowHi群に有意な低下が見られた。

筆者らの主張

トレーニング負荷を等しくした場合、強度×量の違いにかかわらず似たような効果を生じさせるが、急性の効果の違いにより試合前などは高強度で接地回数の多いトレーニングの代わりに、低強度で接地回数の多いトレーニングを行う方が急性のパフォーマンス低下を最小限に抑え、パフォーマンスを維持し、向上させるための十分な刺激を身体に与えることが出来るかもしれない。


と長くなりましたが、プライオメトリクスの効果としては量も強度もどちらも大事で、それらを合わせたトレーニング負荷が等しいなら過負荷の原理通りに負荷を増やしていくことで強度と量に違いがあってもトレーニング効果は得られ、効果の差はあまりない、という結果です。とはいうものの強度が高いLowHi群の方が効果量は大きくなっているので、プライオメトリクストレを新たにプログラムに追加する場合は強度低めの種目(接地衝撃の少ないもの)から強度高めの種目に段階的に変更していき量は少なく、試合前は強度低くして量を増やすという流れが良いのかなと思います。筋トレはできないけどプライオは行える環境の高校の部活生とかには良いかもしれませんね。もちろん今回の結果は普段からスクワットとかをガンガン行っている人には当てはまらない可能性が高いです。