
先日ハイクリーンのやり方を説明した動画で「キャッチ」について質問を頂いたのですが、せっかくなのでブログでもクリーンにおけるキャッチの必要性について私の考えを書いておきます。
キャッチが必要となる対象者は?
真っ先に考えられるのはウエイトリフターです。当たり前ですが競技としてキャッチしなければならないからです。
では他の競技者にとってキャッチは必要なのでしょうか?
ウエイトリフター以外がクリーンを行う理由は、パワー発揮やRFDを向上させるためと考えられます。
この場合キャッチをすること自体が上述した能力の向上を促すのであればキャッチは必須となりますが、研究論文やナラティブレビューを読む限り必須とは言えないようです。※1 ※2 ※3
ということはウエイトリフター以外では、キャッチを行わないハイプルを行えば十分と考えられるので、肘や肩の問題からキャッチ姿勢を作ることが出来ない人には特に有効な手段となります。
とはいうもの私自身トレーニング指導でキャッチまで行って頂くことはあります。
理由として
1.指導対象者が自主練でクイックリフトを行う場合、ハイプルよりクリーンのほうが「出来ているかどうか」が分かりやすい
2.トレーニングに飽きを感じさせたくない
からです。
1.に関して
ハイプルと違いクリーンはきちんとキャッチ出来たら一定の高さまでは挙げられていることが直感的に理解出来ます。※ロウキャッチしない前提
このため、3レップスのセットを行うなら3レップ目で急にキャッチがしにくくなれば急性の疲労が原因と考えられるため、
次のセットからはレップ間レストを長くとる
といった変更を行うことが出来ます。
PUSH band などで数値化したモニタリングが出来る環境にいないなら大事な点だと思います。
2.に関して
できることなら指導対象者の意欲も視野にいれてプログラムは作った方がよいので、同じクイックリフトでも運動様式の違うものを取り入れることは重要だと考えています。
自分のトレーニングでも、ずーっとハイプルやるより、クリーンとかスナッチを取り入れる方が楽しいですよね?
まとめると
1.クイックリフトに求められる効果を引き出すためならキャッチは不可欠とは言えない
2.レップの精度を見極めることや嗜好性を考慮するとキャッチは出来たほうが良い
※あくまでキャッチ動作を習得する時間が十分にある場合
以上がキャッチに対する私の考えになります。
※1 Comfort,P,Mark,A,and Phillip,GS.Comparisons of Peak Ground Reaction Force and Rate of Force Development During Variations of the Power Clean.Journal of Strength and Conditioning Research,25(5):1235-1239,2011.
※2 Suchomel, T et al.Kinetic Comparison of the Power Development Between Power Clean Variations. Journal of Strength and Conditioning Research,28(2):350-360,2014.
※3 Suchomel, T et al .Weightlifting Pulling Derivatives: Rationale for Implementation and Application. Sports Medicine. 45(6):823–839, 2015.