性差はトレーニング負荷に影響を与えるか?

性別がトレーニング負荷に与える影響ついて調べた研究論文のご紹介です。



研究の目的

男女を比較した筋肥大プログラムにおいて、行った特定のトレーニング種目における総負荷量の変化を分析し、性別による結果(=筋力)への影響を調べた。
※1RMテストは行わず

被験者

女性群34名
年齢 22.7 ± 4.1
体重(kg) 58.8 ± 11.9
身長(cm) 162.6 ± 6.2
BMI 22.1 ± 3.6

男性群30名
年齢22.7 ± 4.4
体重 68.4 ± 9.0
身長 174.5 ± 6.6
BMI 22.5 ± 2.4

※数値は平均±標準偏差(この後の数値もすべて)
※※過去6ヶ月の間トレーニングを行っていない、主な身体活動が週2回未満の人たちを対象にした。また過去6ヶ月以前のトレーニング歴は
女性群で10.9 ± 16.4 ヶ月、男性群で11.0 ± 12.7 ヶ月であった。

介入期間

22週間
※トレーニング期間は第3~10週と第13~20週の間
※※第11~12週はトレーニングオフ
※※※身体測定は第1~2週と第21~22週の間に行われた

実施種目

前半8週間(9種目)
ベンチプレス、45度レッグプレス、ワイドグリップビハインドネックプルダウン、レッグエクステンション、ラテラルレイズ、ライイングレッグカール、トライセップスプッシュダウン、カーフレイズ、アームカール

後半8週間(11種目)
下記の種目が追加された。
インクラインダンベルフライ、シーテッドケーブルロウ、ミリタリープレス、トライセップスプレス(※1)、シーテッドカーフレイズ(※2)
※1・・・トライセップスプッシュダウンから変更
※2・・・カーフレイズから変更

アブドミナルクランチは全期間で週3回トレーニングの最後に行われた。回数はトータル50~100回の間

トレーニング頻度

上記種目を月曜日、水曜日、金曜日に行った。
※1日おきに設定されたのはトレーニングを連日行わないようにするため

負荷設定

全種目8~12回の最大反復(カーフレイズは15~20回)で3セット行われた。
毎週行うRMテストの際、最初の2セットは8回行い、最終セットは自身の限界まで行った。
※セット間インターバルは60~90秒、種目間インターバルは2~3分
※※毎週使用重量は調整された。週の最後のトレーニング日に行われたRMテストで8回以上行えた回数を2で除して(下半身種目は除さずに)、その数字をテスト重量に足したものを翌週の使用重量とした。
※※※トレーニング開始初週のRMテスト重量は観察者の判断のもと設定された。

介入後

体重

最初の8週間では体重は増加したが、後半8週間では大きな変化はなかった。

前半8週間の変化
女性群(kg) 58.8 ± 11.9 →60.1 ± 12.2
男性群(kg) 68.4 ± 9.0→69.7± 8.7

総負荷量の変化

両群ともに全期間を通して総負荷量か大幅に増加がしたが、女性は男性と比べて前半の8週間で大きく変化した。
後半の8週間においては顕著な性差はなかった。

前半・・・
女性群 43.6%増加(効果量1.6)
男性群 32.5%増加(効果量1.5)

後半・・・
女性群 28.7% 増加(効果量1.8)
男性群 24.3% 増加(効果量1.3)

※効果量・・・効果の大きさを表す統計的指標
0.2~0.49で小、0.5~0.79で中、0.8以上で大
※※介入期間における被験者のトレーニング参加率は85%だった

※※※後半8週間で追加されたインクラインダンベルフライ、シーテッドケーブルロウ、ミリタリープレス、シーテッドカーフレイズは両群ともに総負荷量が顕著に増加した。

この研究でわかったこと
1.
最初の8週間で女性群は男性群より上半身・下半身種目ともに総負荷量の増加率が高かった。

2.
後半8週間では上半身種目で女性群の総負荷量の増加率が高かった。

筆者らの考察

性差の原因は

1 .男女間の神経動員パターンの違い
先行研究で神経適応が女性で優れるということを理由とした。
また、元々の筋力差も影響するとした。

2 .女性の疲労耐性
先行研究から女性は男性より疲労に耐えられる傾向にあることを理由とした。

などにあると主張した。

Ribeiro AS, et al. Analysis of the training load during a hypertrophy-type resistance training programme in men and women.European Journal of Sport Science,2015.


1RMテストを行わずに総負荷量の変化によってトレーニング効果(今回においては筋力)を判断のするというのは面白いな~と思いました。1RM測定ってトレーニング歴が浅いと難しいんですよね。

女性の方が総負荷量の変化率が大きかったのも意外でした。時間があれば先行研究も読みたいです。

対象者が学生なので日常の活動量は変動があるでしょうから、どこまで不活動でいられたのかは疑問です。

また重量増加の手法が独特なので、この設定が正しいのか判断がつきません。下記の文献を元にしているようですが見つけられませんでした。↓↓↓
Rodrigues, C. E. C., & Rocha, P. E. C. P. (2003). Resistance training: Theory and practice. Rio de Janeiro: Sprint.

性差は前回のスナッチから個人的に非常に面白く感じているので、今後も調べていきたいと思います。