同階級の男女がスナッチした場合

男女ともに69キロ以下級が存在した時代のウエイトリフティング世界選手権(2010年)で、出場選手の男女間におけるバーの軌道や速度の違いを調べた研究をご紹介します。


2010年に行われたウエイトリフティング世界選手権において男女のAグループ(第一試技の申請が全体から見て上位のグループ)9名のスナッチをカメラで撮影し 、ファーストプル・トランジション・セカンドプル・ターンオーバー・キャッチの局面でのバーベルの速度や変位量(鉛直方向と水平方向)、各関節における角変位などを測定した。※スナッチのデータは最高重量の成功試技を用いた。男子Aグループは10名だったが1名3試技失敗で失格のため男女ともに同じ人数になった。

本研究Figure1.より引用。黒いやつがカメラです。

結果として

・角変位において、ファーストプル時は足関節と膝関節で、セカンドプル時は膝関節で有意差があった(男性>女性)。※トランジション時最終局面の膝屈曲角度も男性>女性

・角速度において、ファーストプル時は股関節で有意差があり(男性>女性)、セカンドプル時は足関節と股関節で有意差があった(女性>男性)。

・セカンドプル局面におけるバーベルの鉛直方向への直線軌道における速度で有意差があった(女性>男性)

・ファーストプル時における仕事量とパワー、セカンドプル時のパワーにおいてで有意差があった(男性>女性)。

Harbili, E. A Gender-Based Kinematic and Kinetic Analysis of the Snatch Lift In Elite Weightlifters in 69-Kg Category.Journal of sports science & medicine, 2012, Vol.11(1), pp.162-9


男女の体重、試技重量は以下のようになっています。

作:吉田

筆者は男子選手と比較した場合、女子選手のファーストプル時における足関節・膝関節の伸展角度の少なさを最大筋力の違い(男性>女性)によるものとしています。※有意差はないがファーストプルの速度も男性>女性

また、セカンドプル時のパワーをバーベル重量で除した相対的パワーは男女差がなかったことから、セカンドプル中のパワー発揮の技術は同程度であるともしています。※セカンドプル局面のバーベルの鉛直方向への最大速度は女性で大きな数値を示しています(有意差あり)。

セカンドプル時における股関節の角速度やバーベルの移動速度は女性の方が大きな数値を示した、というのは興味深いですね。

体重は変わらなくとも男女の差が出るということは、体重あたりの筋肉量の違いが影響していそうなので、身体組成も知りたかったところです。

床に対する力発揮は似た体重だと男女でどのような差が出るか興味が湧いたので今後調べようと思います。